火の鳥オリジナル版復刻大全集。第2回は未来編!…え、あれ?未来!?
という事で火の鳥復刻大全集の2巻が送られてきたよ!
思いっきり記事タイトルで内容のネタバレしているけども
ほとんどの人は知ってるよ、という感じだろうし「ま、いっかー」と軽く流す。
2巻の化粧箱。表紙の二人は…もう泣けそう
ハードカバー。美しく飛んでいる火の鳥
全巻購入特典の小冊子「手塚治虫 火の鳥を語る」
以下あらすじと感想だかレビューだか
さて未来編である。未来編といえば火の鳥シリーズの最高峰の一つともいわれてるとかどうとか。
いやー未来っていいですもんね、誰だって楽しい未来に憧れる。
未来というからにはそりゃあもう人類の技術がすごく進歩したりして
宇宙に進出したり色々としちゃったんだけども、今作ではその人類の全盛期も過ぎて
人類が緩やかに衰退していくという状況の話であり、物悲しさがつきまとう。
そしてこの編の主人公とその恋人である二人(?)の行く末もまた切なく泣ける。
おおまかなあらすじとしては下記のような話である。
人類が発展しきった後に衰退しはじめ、優れたコンピュータに
人類の行く末の判断を委ねている現状。そのコンピュータのお告げによって
宇宙人である彼女を殺さなくなければならなくなった主人公の山之辺マサトは
彼女を連れて逃亡する。その逃亡先で猿田彦博士と出会ったり火の鳥に選ばれ、
死なない身体となって神のような存在となり、今の愚かな人類に変わり
新しい人類を創造するという使命を持たされる。
人類はコンピュータの愚かな行動のせいで絶滅してしまい、マサトは地球に生きるただ一人の人間となる。
たった一人となったマサトは苦悩しながら何十万年、何十億年という長い年月をただひたすら過ごし
滅びた愚かな人類に変わる新しい人類の登場を待つというものである。
途中で一度人類とは別の存在が進化するのだが、それらもまた滅びの道を歩んでしまう。
彼らを見届け、ただ一言「死んだ」という感情もなく言うマサトの心は如何ばかりか。
この果てしなく壮大な物語の行く末に素晴らしいカタルシスが待っている。
再び人類の祖先が生まれ、そして懐かしい人物たちも登場し・・・ってええええ!?
「ちょっと待て!?未来編って!?そうなるのかよ!?ということは今いったい何回目なんだ!?」
と驚愕し、思わず叫びたくなる衝撃の展開。頭をガツンと殴られたような衝撃を受け
頭の中が混乱してグルグルと回ること請け合いである。
もしも未読人はぜひ黎明編、未来編の順番に読んでその衝撃を体験してほしい。
また、作品の中で火の鳥の発するメッセージが味わい深い。
地球が間違った方向へ行っている原因は、人間であると。
地球にとって人類が悪であるというニヒリズムのようなものは今となっては
わりかし陳腐かもしれないけども当時としては…当時もSF小説としてはわりとあったかな。
あったかもしれないけど漫画としては珍しかった気がするかもしれない。
火の鳥は何度も人類に裏切られ悲しみながらも、それでも次の人類こそは…という期待を諦めずに持っている。
手塚先生の書く世界でこのような人類感が伺えるという点では貴重であると思う。
スターシステム的な話
手塚先生はキャラクターを使いまわし…げふん別の作品でも
登場させることで有名なのは周知であると思うが、今作でも色々と登場している。
ロックは火の鳥以外でも活躍している有名キャラクターであるが、
今作にて初登場するロビタやムーピーらは今後の火の鳥シリーズで
別の固体、キャラクターとして再登場する。再読者は彼らの登場に興奮するに違いないだろう。
そして、中でも作中で重要そうな役割を持って登場する猿田彦博士は黎明編でも登場した
猿田彦と容姿がそっくりである。読んだ人は間違いなくニンマリとすることでしょう。
これは単なる手塚先生のスターシステムによるお遊びかと思いきや、
なんと死亡時には火の鳥からもなにやら話しかけられ、彼もまた深い役割を持っているという
重要な人物の様子。これは今後の火の鳥での猿田彦の活躍にも期待してしまうね!
・・・わざとらしくてごめんなさい。
余談であるが、この連載時オリジナル版(?)では
わりと多くのページでキャラの台詞のがフォント写植でなく手書き文字になっている。
そのせいでか読んでて妙に温かみを感じられるのが、とてもいい