ウィモバの日々

Windowsをモバイルする…それがウィモバ(仮)。手のひら端末が好きです

クラウドファンディングはどこまで許される?詐欺との区別は?

明らかにそのBack金額で真面目に作ったら赤字の山になるだろう某クラウドファンディングを見てふと気になってしまった。

まぁこれ(Mini PC)のことなんだが。
The Most Powerful Pocket-Sized PC Laptop Win 10 | Indiegogo

このプロジェクトはポケットに入るモバイルPCというコンセプトで$1,525,291(約1億7190万円)を調達している。
簡単なスペックは下記の通り。

アップグレード前(初期) アップグレード後
CPU Atom Z8750 Core m3-7Y30 (GPDWIN2と同じ)
SSD 128GB〜 同左
メモリ 8GB 16GB
ディスプレイ 5インチ 同左
解像度 1280×720 同左
バッテリー 6000mAh 同左


この左のスペックで、なんとアーリーバードなら139$(約15,298円)、それ以降なら$189(約20,806円)だという。
まぁ左のスペックのままなら、形状とスペックがまんまな酷似しているGole1という実績あるクラウドファンディングがあるのだが、
メモリが4GB→8GB、eMMCの64GB→SSDで128GBとGole1よりかなり奮発しているのを考慮すると
アーリーバード価格(139$)なら間違いなく赤字だが、それでも2万円前後ならギリギリ実現出来なくはない…?
と疑心暗鬼だったが、なんとStretch Goalを設定してメモリとCPUをアップグレードしてしまった。
いやいやいや!
さすがにその値段($189)でSSDとメモリ16GBとM3-7Y30を載せるのは無理だろ!


つい興奮して昔懐かしいテキストサイト的な糞デカフォントを使ってしまった。
子細は異なるが構成が似たような製品としては、
GPD WIN2:Core m3-7Y30・8GB RAM、128GB SSD・・・発売価格8万以上
Cube Mix Plus:Core m3-7Y30、4GB RAM、128GB SSD・・・発売価格4万円
という物があるが、Mini PCよりメモリが少ない格安タブレットのCube Mixでも実売価格で4万程度はする。
なのに、このMini PCはその倍以上のメモリで半額の2万円($189)だという。
おまけにオプションに存在するSSDを512GBに変更して+50ドルって・・・50ドルって・・・
本体もSSDも完全に売るたびに赤字でしょ。
向こうが差額の自腹を切ってくれるのか???そもそも商品は本当に届くのか?
と一気に胡散臭くなってしまった。コスト的に考えると流石に安すぎて信じられない。
またBackしている人達からの突っ込んだ技術的な質問にも、主催者はまともに答えていない。


当たり前だが、このクラウドファンディングを検証している方もおられて
Indiegogoの「Mini PC」はフェイク?詐欺か?徹底検証 | web net FORCE
読んだら「で、ですよねー」みたいな。
会社情報もデタラメで削除された工場の写真、製品の画像もネットから拾ってきた画像で、会社のロゴもフリー素材のCG…全部ウソっぱち
このプロジェクトに関しては限りなく詐欺と言っていいレベル。


だが、正気なのかなんなのか大手のアスキーがこのクラウドファンディングを記事として取り上げていた。
ASCII.jp:1万5000円でWindowsとAndroidが動くポケットサイズの「Mini PC」
最後に言い訳がましく注意書きを書いているが、本当にそう思うならまずこんな胡散臭い商品を紹介するなと(ブーメラン)。




このMini PCのように限りなく怪しい詐欺とまではいかずとも、クラウドファンディングでは
開発が年単位で遅れに遅れて、届く可能性が怪しいプロジェクトがそれなりに多い。

製品名 発表年 概要 2018年6月時点の現状
Dragonfly Futurefon 2014年〜 四つ折り畳みPC 試作機どころかサポートが消失
DragonBox Pyra 2014年〜 OpenPandoraの後継機 未だに動くデモ機なし
PGS 2016年6月30日〜 世界初のポータブルコンソール 未だに動くデモ機なし
SMACH Z 2014年/2015年〜 携帯型ゲーマー向けPC E3でまともに動くデモ機無し
KSPRO 2017年 Snapdragon搭載Windows10 資金調達に失敗でCLOSE

胡散臭すぎて資金調達に失敗したKS-PROは論外として、これらの製品は発表から2年以上経過しても
未だにまともなデモ機や実機が披露されていない。
果たしてBackerの元に届く日は来るのか・・・?




クラウドファンディングの中でも、Indiegogoはキャンセル期間を過ぎてORDER LOCKEDされたらBackした金は返ってこなくなるから
そこまで騙し通したら勝ちみたいなところがあるなぁ、と。
後から「実現できなかったからゴメンナサイ、試作でお金が無くなったから返金はしません」なんて言った場合に
本当にプロジェクトに試行錯誤していたのか、初めから金を持ち逃げする気満々だったのかは外からでは分からない。


まぁPCのカテゴリに限らずBackした物がずっと届かなかったり粗悪品が来たりするのはよくあるんだろうが…
以前も書いたが、元々泥端末で実績のあって間違いなく発売されると信頼出来るGPD社みたいな所の方が少数派なんだろうなぁ、と。
それでも見るからに怪しいクラウドファンディングに投資しちゃう人達は何だろう…夢を買っているのかな?
夢を求めているだけなら返金を求める必要もないのかな?
もともとクラウドファンディングの本質は夢への投資なのだから、トンデモなプロジェクトに投資している人達は
別に実現しなくても返金してもらう必要はないのかもしれない(暴論)